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犬の尻尾の振り方で気持ちがわかる?尻尾の種類を解説

犬の尻尾は種類も豊富。犬が尻尾を振る時は「嬉しい」だけではない、色々な気持ちを表現しており、大切なコミュニケーションツールの一つでもあります。上に巻く、下がっている、高い位置で強張っているなど……今回は、そんなしっぽをテーマしたお話です。

大塚 良重

執筆者:大塚 良重

犬ガイド

犬の尻尾について勉強してみよう

犬が尻尾を振るのは嬉しいから?犬の尻尾の種類を解説

犬がしっぽを振るのは嬉しいから?

犬のしっぽにはたくさんの種類があります。そのしっぽを使い、犬達はいろいろな感情を表してもいます。ここでは、そんなしっぽをテーマにしたお話をしましょう。
 
 

犬の尻尾の役割って何?

犬のしっぽを見ているとちょこちょことよく動き、まるで別の生き物のように思えることもありますよね。短いしっぽ、長いしっぽ、その種類も様々ですが、そもそも犬のしっぽには何か意味があるのでしょうか?

実は、彼らにとってはたいへん重要な役目をもっているのです。一つにはコミュニケーションをはかるツールとして。家族が家に帰った時、お気に入りの友達犬と会えた時、しっぽをブンブン振って嬉しさを表していますし、怖い相手やものに出会った時にはしっぽも元気がなくなり垂れ下がってしまいます。しっぽにはその時の気持ちがよく表れるのはご存知のとおり。犬達はしっぽを使って互いの気持ちを伝え合っているのです。

二つ目は体のバランスをとる舵取りの役目。走っている時などしっぽをうまく使って微妙なバランスを保つことができます。三つ目には保温効果。しっぽがない、または短い犬種ではこれにあてはまりませんが、しっぽが長くてふさふさの犬種では、冬の寒い時などしっぽで鼻先をくるっと包むことによって、体温の低下を多少防ぐこともできるでしょう。このように、しっぽは犬達にとって大事な機能を果たしているパーツなのです。
 

犬の尻尾の種類は色々ある

いろいろな形がある犬の尻尾。その代表例。

いろいろな形がある犬のしっぽ。その代表例。


さて、一口にしっぽと言っても、形状によっていろいろな種類があります。中には生まれつきしっぽがなかったり、断尾する犬種もあり、しっぽの長さもいろいろ。ちなみに犬の場合、尾椎の数は6~23個ほどあり、犬種によって差があります(「犬の用語事典」大野淳一著/誠文堂新光社より)。先端にいくほど一つ一つの長さが短くなっていき、先端は触ると尖っている様子が感じとれるはずです。

それではしっぽにはどんな種類があるのでしょうか? ここにその一部をご紹介してみましょう。
 

ブラッシュ(Brush)/フォックス・ブラッシュ(Fox Brush)

シェットランド・シープドッグ

キツネのようなふさふさの尾がエレガントな容姿に似合うシェットランド・シープドッグ

キツネのように被毛が密で、ふさふさとした垂れ尾。
例)ラフ・コリー、シェットランド・シープドッグ






 

オッター・テール(Otter Tail)

ラブラドール・レトリーバー

カワウソのような尾をしたラブラドール・レトリーバー

カワウソの尾のように根元が太くて丸く、先端にいくほど細くなっている尾。
例)ラブラドール・レトリーバー





 

プルーム・テール(Plume Tail)

イングリッシュ・セッター

羽飾りのような美しい尾をもつイングリッシュ・セッター

長い羽を思わせる飾り毛のある尾。
例)イングリッシュ・セッター






 

ボブ・テール(Bob Tail)

オールド・イングリッシュ・シープドッグ

オールド・イングリッシュ・シープドッグの別名はボブ・テール

先天的に尾がない、またはごく短く断尾した尾。
例)オールド・イングリッシュ・シープドッグ
この犬種は別名を「ボブ・テール」とも言われる。その昔、牛追い犬は免税対象となっていたことから、実際に働いている犬であるということを示すために断尾が行われていた名残。牛追い犬は牧羊犬ほどの激しい動きを必要としないため、断尾をしても大丈夫だろうと思われていたらしい。
 

ファン・テール(Fan Tail)

ポメラニアン

扇のように広がった豊かな尾が自慢のポメラニアン

被毛が豊富でふさふさの尾を背中のほうに持ち上げ、開いた扇のように見える尾。
例)ポメラニアン





 

ウィップ・テール(Whip Tail)

イングリッシュ・ポインター

真っ直ぐな尾がスポーティな雰囲気を醸し出すイングリッシュ・ポインター

長く真っ直ぐで、先端は細くなっており、背中と同じくらいの高さに保持するような尾。
例)イングリッシュ・ポインター






 

スクィーレル・テール(Squirrel Tail)/リス尾

パピヨン

リスのような尾をしたパピヨン

上に持ち上げ、前方に傾けたリスのような尾。
例)パピヨン






 

セーバー・テール(Saber Tail)/サーベル尾/剣状尾

バセット・ハウンド

バセット・ハウンドの尾はサーベルのような形をしている

三日月、またはサーベルのようになだらかにカーブした尾。
例)バセット・ハウンド、ジャーマン・シェパード・ドッグ、ブルマスティフ




 

リング・テール(Ring Tail)/輪状尾

アフガンハウンド

円のように丸くカーブした尾をもつアフガン・ハウンド

あたかも円のように丸くカーブした尾。
例)アフガン・ハウンド






 

ラット・テール(Rat Tail)/鼠尾

鼠の尾のような形状で、根元は太くて、柔らかな巻き毛があり、先端には被毛
のない尾。
例)アイリッシュ・ウォーター・スパニエル。
 

スクリュー・テール(Screw Tail)/螺旋尾

フレンチ・ブルドッグ

きゅっとねじれた尾がキュートなフレンチ・ブルドッグ

断尾していない自然な形で螺旋状に曲がりくねった尾。
例)ボストン・テリア、ブルドッグ、フレンチ・ブルドッグ





 

巻き尾(Curled Tail)

秋田犬

秋田犬の場合、スタンダード上、尾の形は巻き尾のみとなっている

背中の上に丸く巻いた尾。巻き方のきつさや傾く方向などによって、堅巻、浅巻、太鼓巻、二重巻、右巻、左巻などの呼び方がある(日本犬)。
例)秋田犬、柴犬



 

差し尾

甲斐犬

差し尾が凛々しい甲斐犬

尾が巻くことなく、背中の上で前方に向かって倒れた尾。尾の先端が背中や体に触れるものは半差し尾(半差し巻)、太刀のような形のものは太刀尾、薙刀に形が似ているものは薙刀尾と呼ばれる(日本犬)。
例)紀州犬、甲斐犬



あなたの愛犬は、どんな形のしっぽをもっていますか?
 

犬が尻尾を振るのは嬉しい時だけじゃな

尻尾の動かし方や位置によって、ある程度犬の心理を読み取ることが可能。

しっぽの動かし方や位置によって、ある程度犬の心理を読み取ることが可能。


昔から犬は嬉しいとしっぽを振ると言われてきました。これは正しくもあり、間違ってもいます。

「お留守番をしていたら、大好きなパパさんママさんが帰って来たので、嬉しくてしっぽを振っちゃった」
「今日会うのは初めてだけど、なんとなく気に入りそうな相手なのでしっぽを振ってみた」
「前から知ってる人だけど、ちょっと苦手。その人が近づいて来るまでの間、少ししっぽを振ってみた」
「こいつ、なんか波長が合わなさそう。気に入らないなぁ。だからしっぽを振ってやる」

わかります? 時々、しっぽを振っていたのに相手の犬に咬みついてしまったなんていう話を耳にすることがありますが、犬は嬉しい時でも、ちょっと気をつけたほうがいいぞという時でも、相手が気に入らない時でもしっぽは振るのです。ただ、しっぽの位置や振り方などによって、それが少しずつ違うんですね。
 

犬の尻尾の位置や振り方に注目

犬の気持ちを探るのにしっぽの位置と振り方は大事なポイントとなります。たとえば、向こうから誰かがやってきました。それに気づいた犬は緊張してしっぽの位置が少し高くなります。暫く様子を伺っていると、どうやら知り合いのような気がしました。しっぽの位置はより高くなり、しっぽをちょっと振ってみました。その人が段々近づいて来るにつれて大好きなAさんであることがわかりました。しっぽの位置はもっと高くなり、振り方も激しくなりました。

このように、何か気になることや興味をひかれるものがあったり、気をつけたほうがいいぞと思うようなこと、いい意味でも悪い意味でも興奮してしまうようなことがあると、その気持ちが高まるほどにしっぽの位置は高くなっていき、振り方も速く、その幅も広くなる傾向にあります。

逆に、他の犬に出会ったとして、「あいつはちょっと怖い雰囲気があって俺より強そうだなぁ」なんて思ってしまった時にはしっぽの位置は低くなるとともに振り方もゆっくりめに、そして幅も狭くなり、「自信がないや、もう逃げ出したい」となると股の間にしっぽを挟んだ形になります。

おおむね、「俺のほうが強いんだぞ」とやや支配欲の強い犬は、しっぽの位置が高く、尻尾を小刻みに振る様子がわりと見られ、しっぽの位置がそれよりも低く、振り方も速くなると、その分支配欲も弱まると見ていいようです。
 

犬の気持ちを読み取るには全体の様子を見ること

しかし、しっぽの動きだけを見て、単純に「嬉しがっているんだ」「緊張しているのかも」などと判断しないようにしてくださいね。しっぽの他に、顔の表情や耳の形、姿勢、体の緊張度、その時の状況など総合的に見て判断することが大切なのです。犬はしっぽのみならず、体全体を使って気持ちを表現し、コミュニケーションをはかっているのですから。

そうそう、しっぽと言えば、数年前に面白い研究結果が発表されましたね。ニュースなどでも流れましたので、ご存知の方も多いでしょう。イタリアにおいて神経科学者と獣医師によるチームが、犬にある刺激を与えた場合のしっぽの反応を見たものです。実験対象となる犬達に「飼い主」「見知らぬ人」「猫」「攻撃的な見知らぬ犬」を会わせ、その時にしっぽがどう反応したか記録をとってみると、好きな相手と会った時にはしっぽが体の右側に振られる傾向が強く、不安を感じたり苦手な相手に会った時には左側に振られる傾向があったという内容です。

人間の場合、左脳が体の右側の動きをコントロールし、右脳が左側の動きをコントロールしており、同時に左脳はポジティブな感情に関連し、右脳は不安や恐れといったネガティブな感情に関連するとされています。この実験から、犬も同様なのではないかと考えられる結果が導き出されたわけです。しかし、100%そうなのか?というと、まださらなる研究が必要という声もありますし、注目したいところです。


いずれにしても一般の飼い主からしたらたいへん興味深い内容であることに変わりはありません。犬のしっぽって、意外に奥が深いですね。さぁ、今日から愛犬のしっぽを観察してみてはいかがでしょう。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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